和菓子の素材(4)和菓子と砂糖のお話

執筆者: 木ノ下 千栄(きのした ちえ)

和菓子にはいろんな砂糖が使われます。身近な上白糖、黒砂糖、グラニュー糖・・・。洋菓子と和菓子の砂糖は違います。このページでは和菓子に使われるお砂糖について紹介しています。

◆上白糖(じょうはくとう)
どのご家庭にもある、最も一般的に使われている砂糖。日本では全砂糖使用量のうち半分が上白糖といわれています。
和菓子ではお菓子の生地や焼物、押物など、何にでも使います。
◆中白糖(ちゅうはくとう)
上白糖よりも純度がやや低い砂糖。黄味を帯び、甘さが上白糖よりも少し強いので、みたらしのタレや蜜に使います。あまり一般的には流通していません、。
◆三温糖(さんおんとう) 
黄褐色をした砂糖で、特有のクセと香りを持っているので、冷やしあめなどに使います。基本的には中白糖と同じですが、より純度が低く、強い甘さとコクがあります。
◆黒砂糖(くろざとう)
さとうきびの汁をそのまま煮詰め、砂糖にしたもので、濃厚な甘さと、強い風味があります。古くから生産されてきた沖縄には17世紀の初めに、中国・福建省から伝わったといわれています。
黒砂糖は純度が低いので虫がわきやすく、日持ちがしません。昨今の日持ちのする菓子の需要から、なかなか使用しづらくなってきています。
黒糖まんじゅう、黒蜜、かりんとう、飴など、クセを生かしたお菓子に利用します。
◆和三盆(わさんぼん)
独特の風味で、干菓子でもおなじみの和三盆。これは香川、徳島両県のごく限られた地域のみで生産される高級白砂糖の呼び名です。
和三盆の名の由来は諸説ありますが、一説では白下糖(しろしたとう)と言う源糖を盆の上にのせ、手によって何度も灰汁と蜜を抜く作業(研ぎ)を3日間繰り返したことからついたとも言われています。この作業を何度も何度も繰り返して、あのまろやかな黄淡色の粉末となります。
結晶の大きさが非常に小さいので口どけがとてもよく、おちょぼ、押物によく使われます。
◆はくざら(白ざら糖)
光沢があり、無色透明の高級砂糖です。一般的に家庭で使われることは少なく、高級な菓子や飲料に多く使われています。
あんこ類や羊羹などに使うと、上白糖よりもすっきりした甘さになります。
◆黄ざら(中ざら糖)
黄褐色をした砂糖で、グラニュー糖よりも結晶の大きい砂糖です。表面にカラメルをかけているので独特の風味を持っています。
タレ、冷やしあめなどアクのあるものを、あっさり仕上げたい場合に使います。
◆グラニュー糖
グラニュー糖ははくざらと成分は同じですが、製造過程が異なってきます。結晶状で、粒に「極小」「普通」「粗」などいろいろあり、極小は汁粉など、また普通や粗いものは洲浜を代表とするまぶし物に使います。クセがなくあっさりした味です。
◆粉砂糖
はくざらやグラニュー糖などの純度の高い砂糖をすりつぶした砂糖です。結晶状ではなく粉状であるところが他と違います。
打物に混ぜたり、麩焼きせんべいの柄など細工物にも使われます。
◆飴(あめ)
とうもろこし、さつまいもなど、デンプンを多く含む素材を糖化させたものです。飴の語源は「あま」「あまい」から来たといわれています。
水飴、米飴、麦飴があり、水飴はコンスターチから、米飴は米から、麦飴は麦から出来ています。
水飴は普通の飴で透明、保水性、粘りを出します。あんこや生地などに用いられます。
麦飴も保水性、粘りがありますが、香りが独特なのでカステラや冷やしあめ、あんこなどに使います。
麦飴は保水性、粘りの他、香りがあるので、生地や冷やしあめなどに使います。
古代のお砂糖
◆甘葛(あまずら)
甘葛は、古代から室町にかけて作られた甘味料です。つたの樹液の糖を精製したもので、昔は採取が非常に困難でした。作るのにも手間がかかり、貴族など限られた人しか食べることが出来ませんでした。『枕草子』にも出てくるお砂糖です。

このページの作成にあたり、お砂糖「真」時代協議会のホームページから画像を数点引用させて頂きました。
ご協力頂いたお砂糖「真」時代協議会のホームページはこちらからご覧いただけます。

 

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