市比売神社のひいな祭り

執筆者: 木ノ下 千栄(きのした ちえ)
◆皇室ゆかりの女人守護の神社

市比売神社の「ひいな祭り」は、あまり全国には知られていませんが、京都の人ぞ知る「雛祭り」です。ここでは他で見ることの出来ない「ひと雛」が見られます。

市比売神社は地元では「いちひめさん」と呼んで親しまれ、縁結び・子授け・女人厄除けなど、女人守護の神社です。歴代皇后の御崇敬が篤く、現在も「皇后御祈願所」で、全国から厄年を迎えた女性が参拝に訪れています。

「市比売」の名は、もともと官営市場東市・西市の守護神として創建され、現在も京都中央市場の守り神としていることに由来しています。今でも商売・市場の守り神として全国に分社があるそう。元は堀川の七条にありましたが、豊臣秀吉の時代に現在の地に移されました。本殿は神社建築としては大変珍しく、北向きに建てられています。これは市比売神社が皇室守護の神社であることから、北の御所に向かって建てられていると伝えられます。                                      (上写真:市比売神社の正門 拡大写真

また、境内には「天の真名井(あめのまない)」という井戸があり、これは京都七名水の1つですので、是非飲んでみてください。歴代の天皇・皇女の産湯としても使われた名水です。         (右写真:天の真名井 拡大写真


◆本物の人間が扮する「雛人形」

いちひめさんの「ひいな祭り」は、とにかく、見物者も楽しめるお祭りです。実際の人間が十二単・装束を着てお雛様になるという「ひと雛」は、その中でも一番の見どころ。毎年女性の観客が多く、沢山のストロボがたかれて、古代ファッションショーといった感じです。(左写真:人間が扮する「お雛様」!! 拡大写真




「ひと雛」には、一般の人から男女一人ずつが選ばれ、「お内裏様」「お雛様」として、装束の着付けから参拝者に公開されます。神事の後、希望者はお内裏様・お雛様になって記念撮影ができます。カップル・ご夫婦にオススメです。
             (上写真:こんな写真も撮れます。お勧め! 拡大写真

着付けが終わると、三人官女・五人囃子もそろって、みんなで雛段に座り、「人間版」雛人形を再現します。                 (左写真:お雛様の着付け 拡大写真

その他、神主さん自ら市比売神社の由来と雛祭りの起源についての解説をして下さったり、普段は手にすることの出来ない、雛人形の原型であるともされる「天児(あまがつ)」を拝見できます。また、平安時代の遊びである、投扇興(扇を飛ばして台の上にある鈴を落とす遊び)や貝合せ・双六などが実演・解説されます。実際に投扇興をやってみることも出来ます。

『源氏物語』にも載せられているという厄除信仰と、春の訪れを喜ぶ宮廷行事「ひいな遊び」を再現した「いちひめさんのひいな祭り」。今年はここで、災厄を祓い、幸福を祈ってみてはいかがでしょうか?

(右写真左:かわいい「姫みくじ」 拡大写真
(右写真右:取材で神主さんが下さった「カード型お守り」。後ろに私の名前を記して下さいました! かさばらず、いいですね! 拡大写真



◆場所・日時(※各行事の日程は、天候等の理由で変更になる場合があります。)
市比売神社(京都府京都市下京区市姫通河原町五条下ル一筋目西入ル
  地図はこちら  /3月2日~3日(両日開催は、平成14年のみ)
  問い合わせ:075-361-2775  FAX 075-361-2776
 参加料1,000円がいります(室内拝観・桃挿華簪守り(ももかざしまもり)・抹茶と
      御菓子「ひちぎり」の接待付き)。
▼おひなさまのお菓子▼
雛菓子

「ひちきり」
雛祭りに欠かせない、
上生菓子「ひちきり」。
その他、
雛祭りには、うぐいす餅・
桜もち・引菓子・菱餅なども
オススメです。
  

《「ひいな祭」行事予定》
 午後1時30分~ ひいな遊び (双六、投扇興)の解説と
            実演、記念撮影、雛飾りの説明

 午後2時~    十二単と束帯の着付け実演。
 午後3時~    ひと雛勢揃い、天児ノ儀、官女の舞、
            ひな茶の接待など

◆交通

・JR京都駅から、徒歩20分。
・市バス17・205系統・「河原町正面」下車、徒歩5分。
・京都バス「河原町五条」下車。徒歩5分。
・京阪電車「五条」駅下車、徒歩約10分。
・駐車場 2台(無料)。
・車椅子 本殿のみ可。


◆関連行事(2002年のみ)
「雛祭り」に関連して、嵯峨野の博物館「さがの人形の家」では、今年は「大きなおひなさま、「小さなおひなさま」をテーマに、江戸時代の一般家庭で飾られた雛人形を展示しています。
80センチもの巨大な享保雛・古今雛・次郎左衛門雛などは珍しいものです。
日時 2002/1/1(火・祝)~3/31(日)の土・日・祝日のみ開館(3月は火曜日を除いた毎日開館)。
問い合わせ 博物館「さがの人形の家」(右京区嵯峨鳥居) TEL 075‐882‐1421

嵯峨野店・外観
博物館の近くには、甘春堂・嵯峨野店がございます。

落ち着いた町屋風の茶房で、美味しい京菓子をお召し上がり下さい(駐車場有)。

このページの作成にあたり、市比売神社様から画像を数点お借り致しました。ありがとうございました。

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