執筆者: 木ノ下 千栄(きのした ちえ)
京の三大祭の中で最も古いこの祭礼は、正式名を賀茂祭といいます。石清水八幡宮のお祭りを南祭というのに対し、北祭とも呼ばれます。

◆葵祭とは?

 葵祭は上賀茂神社と下鴨神社の祭礼で、「宮中の儀」「社頭の儀」と「路頭の儀」の三つで構成されています(現在「宮中の儀」は省かれおり、残りの二つだけになっています)。中でも「路頭の儀」は大変有名で、いわゆる斉王代行列にあたります。よくテレビ等でクローズアップされるので、一度は映像をご覧になった方も多いことでしょう。

 しかし、これは葵祭のメインではありません。実は本来、葵祭の目的は行列ではなく、神前で祭文を読み上げ、供物や舞を奉納する「社頭の儀」だとされています。つまり、斉王代行列は「社頭の儀」をとりおこなうまでの道中の儀というわけなのです。

 そうはいっても、斉王代行列の総勢は約500名で、700メートルもの長さとなります。京都御所から下鴨神社、上賀茂神社の順で約8キロの道のりを平安朝の装束をまとった人々がしずしずと練り歩くのは、まさに風雅そのもの。牛車、輿、斉王代の衣装などの風俗も平安時代そのままで、さながら王朝絵巻を見ているようです。


◆葵祭の起源と由来

 今から約1400年前の欽明天皇(540~571年)の時代に、大凶作に見舞われ疫病がはやりました。天皇が占わせたところ、この災いは賀茂の神々の祟りであるというので、天皇が勅使を遣わし、祭礼を行ったのが葵祭の起源とされています。

 また、葵祭の名の由来は、祭りの当日に御所内裏の御簾をはじめ、牛車、勅使、行列の人々の冠や装束、牛馬など全てを葵の葉で飾ったことによっています。葵の葉を飾るのは一説では、上賀茂神社の祭神「別雷神(わけいかずち)」が生まれた御形山(みあれやま)に、双葉の葵が生じた話からきているといわれています。

 ちなみに、葵の正式名はフタバアオイといい、水のきれいな所にだけ自生する植物です。長期保存が利かないため、葵祭の4~5日前に祭で使用する葵約1万本を一気に採集し、納入するのだそうです。

 余談ですが、徳川家の家紋である「三ツ葉葵」は上賀茂神社の神紋と大変よく似ていたので、徳川家康は上賀茂神社を大いに崇敬したそうです。


[コラム]
1.「上賀茂と下鴨、なぜ「カモ」の字が違う?」
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端午の節句お重箱

親族みんなで集まって祝う
団欒のひとときを大切に・・・。
場所・日時(※各行事の日程は、天候等の理由で変更になる場合があります。)
上賀茂神社(京都市北区上賀茂本山)
  問い合わせ:075-781-0011
下鴨神社(京都市左京区下鴨泉川町59)
  問い合わせ:075-781-0010

・有料観覧席は、京都市観光協会(075-752-0225)で申し込めます。


◆交通
[御所(南側)]
・京都駅より:地下鉄烏丸線 丸太町下車。
・出町柳より:市バス201、203系統 烏丸今出川下車(御所北側になります)。

[上賀茂神社前]
・京都駅より:地下鉄烏丸線 四条下車、市バス46系統乗換 終点下車。
・出町柳より:市バス4系統 終点下車。

[下賀茂神社前]
・京都駅より:市バス205系統(A2のりば)下賀茂神社前下車。
・出町柳より:市バス4系統 下賀茂神社前下車。
         (または駅より徒歩約20分)

市バス主要停留所案内図

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